僕だってああは言ったけど、久米のことを全面的に信じてるわけじゃない。
ただ
何故だか知らないけれど、楠の言葉は信じられる。
根拠のない自信だけど、でも彼女が雅を裏切ることはないだろうと―――
―――これは願望なのかもしれないけど。
妹のように、親友のように慕っている雅を裏切って欲しくない。
信じると言うより、そうあって欲しいと願う気持ちの方がきっと大きいのだ。
だけど久米は楠に迫っていた。
楠は本気で怯えていたし、ショックも受けていた。
なのに、何故久米が犯人じゃないと言い切れる―――?
楠を問い質すか?
いや、それじゃ逆効果だ。彼女はきっとこれ以上に口を閉ざし、沈黙を守ろうとするに違いない。
だけど、知らなきゃならない。
教えてくれなければこっちが調べるまでだ。
久米の背景を知るには、もう突破口がないわけじゃない。
僕は僕のやり方で―――彼女を守ってみせる。
僕でしかできない方法で。



