□Chairs.2



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夜も23時過ぎ。


ゆずを抱きかかえて、そろりと自分の部屋を開ける。


「……ただいまぁ…」


「遅いお帰りで」


玄関先で出迎えてくれたのはまこだった。彼は風呂あがりなのだろうか、首にタオルを下げて腕を組み、仁王立ちしていた。


ぅわ!


まこの据わった目を見て僕は今すぐ回れ右をしたくなった。


ほとんど足がそうなりかけていたところを、まこに首根っこを掴まれ引き寄せられる。


「逃げるな。ってかあれほど言ったろ?今、鬼頭には会いに行くなって」


はい。つい一時間ほど前……ここを出る前に聞きました。


まこがお風呂に入っている間にこっそり抜け出して、雅に会いに行ったけど、


案外あがるのが早かったな。


「シャワーだけにそれほど時間は掛からねぇだろ。お前は夜遊び覚えたての高校生か!その考えが甘ぇんだよ!」


「はい…すみません」


何も言い返せません。