カーテンに手を掛けたけど、あたしは結局水月の言葉に従い…と言うかちょっと驚いて、その手を引っ込めた。
水月……?
すぐ傍に居るけど、今は会えない。
水月も会おうとはしない。
何で―――?
もしかして、全てを知ってる?
窓の外は暗い夜闇が支配している。
重苦しい空の色が、まるで圧し掛かってくるようで、少し息苦しかった。
何か言葉を発する前に、遠くから僅かな音楽が聞こえる。
~♪
聞き覚えのあるメロディーは“浜崎あゆみ”の“Days”だった。
“逢いたくて、逢いたくて
せめて声が聞きたくて
用もなく電話したり
僕の願いはたったひとつだけ
そう、こんな風にいつまでも
君を好きなままでいていいですか?”
浜崎あゆみの透き通るような歌声に乗って、切ないような心があったまるような歌詞が耳に流れ込んできて…
そのとき気付いた。
ああ、この人は
全部知ってるんだ―――
って。



