仲介業者がどうゆとこなのか、聞きたかったけど、これ以上突っ込んで聞くとさすがに不審がられそうだ。
諦めて、事務所の中を再び見渡すと、
“ストップ!少年犯罪!!”
なんて言うポスターが目に付いた。
そのポスターを見つめて、目を細めると、あたしの視線を辿ったのか、
「ああ、これ?さっき言ってた仲介業者の人が持ってきたもんだよ。お役所関係だから、こうゆうポスターが多くてさ」
「お役所?」
「ああ、まぁそんなようなもんだと思うよ?俺たちは勝手にそう思ってるケド」
と、一人のおじさんが答えてくれて、あたしはそのポスターを見つめた。
お役所………未成年者の少年鑑別所…裁判所、警察……
広告代理店の名前が右下に小さく載っていて、あたしはその代理店の名前を頭に入れた。
そのポスターの隣には、県会議員 右門 博(ミギカド ヒロシ)と大きく名前が書かれた派手な色合いのポスターが貼ってある。
あたしがまたも目を細めて、「あれは?」と聞いた。
「ああ、それは貼ってくれって頼まれたから。そいやぁアツシの本名も右門だっけね。
まさかあいつが議員の倅?お嬢ちゃんは娘さんかい??」
おじさんが興味深そうに目を細めたので、あたしは首を振った。
「違います。偶然名前が一緒なだけで。この人とは何の関係もないです」
「へぇ、そうかい。偶然ってあるもんだねぇ」
おじさんはそれ以上深く突っ込んではこなかった。
本当に興味がなさそうだったし、偶然だと思ってるに違いない。
だけど偶然なんて―――
あると思う?



