「右門 篤史って言えば議員の息子の……でもたまたま偶然名前が似てたんじゃねぇの」


梶が目を細めてちょっと悩むように首を傾ける。


「でも年齢的にもあってる。岩田さんは年上っぽいって言ってたし、条件は合うよ」


「でも梶くんの言うとおり、名前が似てるだけで繋がりがあるかどうかは分かんないよ」


「それを確かめに行く」


あたしは乃亜の言葉を遮るように顔を上げ、乃亜が不安そうに眉を寄せた。


「確かめに行くってどこに……?」





「長谷川製鉄所。


以前久米を尾けたときにたどり着いた場所。


あいつはあのとき、誰かと喋ってた。その声は―――




若い男のものだった」






あたしの言葉に、梶が「あ!そういえばそうだったな」なんて思い出したように頷く。


「でも久米くんの性格からして、向こうも警戒してるはずだよ?尋ねていっても会えるかどうか。


それにその人がストーカーだったらどうするの?」


乃亜が心配そうに声を潜めて、同じぐらい眉をしかめた。


「まだ工場には他の従業員も居るだろうし、相手も下手なことできないよ。


それにあたしが堂々と乗り込んでいくなんて考えもしてないだろうから、意表を付くんだよ。


会えなくても―――あの工場で働いていることが分かれば、





久米と繋がりがあることを証明できる」