乃亜―――どこ―――!?


きょろきょろと辺りを気にしながら、廊下を走っていると、


ドンッ!


誰かとぶつかって、あたしはよろけた。


「あ、ぶねぇな!廊下は静かにって常識だろ?」


ふてぶてしい声に、あたしは驚いて顔を上げた。


相変わらずの飄々とした佇まいの保健医が白衣の襟元を直している。


「どうしたんだよ、そんなに慌てて」


「先生!乃亜知らない!?」


「楠がどうかしたのか?」


あたしのただ事ではない剣幕に、保健医がちょっと顔を引きつらせて半歩後退した。


「乃亜が居なくなったの!一緒に探して!」


あたしが怒鳴るように勢い込むと、保健医はそれ以上聞かずに、


「何か分かったら連絡する」


と、あたしとは反対方向に走り出した。





乃亜……




乃亜―――!無事で居て!!