「もちろん、守るよ。だから安心しなさい」
僕は梶田と同じだけ真剣な視線で、彼を見ると、彼はちょっとだけ戸惑ったように視線を逸らした。
「俺がこんなこと言ったってのは、誰にも言うなよ。もちろん鬼頭にもな。これは俺の独断だから」
「ああ、言わないよ」
しっかりと言い聞かせるように大きく頷いて、梶田は帰っていくと思いきや、
「俺はさ。本当はこんなこと言いたくなかった。ライバルにアドバイスしてバカみたいじゃん?
でも先生は優しいからさ―――いつかその優しさで、鬼頭もあんたも思い切り傷つくんじゃないかって気がする。
その優しさで、久米に負けるかもしれないって思ったんだ」
僕が優しい―――……
梶田、それは思い違いだ。
僕は、雅の手を握っていた久米に―――僕自身言い知れない怒りを久米に覚えた。
本当の大人だったら、久米の挑発も笑って交わせるだろう?
本当の聖人だったら、もっと広い気持ちで久米を見られるだろう?
僕は優しくなんかない。
優しく――――なりたいのに……



