HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~



あたしは保健医を睨んで、それでもすぐに水月に視線を移した。


水月がちょっと驚いたように目を開いて、あたしは手の中にある包みを水月にぐいと押し付けた。


「え?ぇ?」


水月があたしの意味不明な行動に?マークをいっぱい浮かべている。


手の中のアフロテディを見下ろして、目をぱちぱち。


「アフロ…」とぽつりと呟き、その隣から


「変なクマ。お前らしいっちゃらしいがな」と保健医が覗き込んでいる。


「それ、ゆずにどーぞ」


ぶっきらぼうに言ってあたしは逃げるように走り去った。


タイミング良すぎ。いや、悪過ぎだ。


とにかく今は水月と(ついでに保健医)あまり一緒には居られない。


でも―――


さっきアフロテディを渡すときに一瞬水月の指に触れた。


それだけで、心臓がきゅっとなって、胸の奥がズキズキと痛む。


あたしは―――水月に秘密がある。


いっぱい話してないことがある。


本来なら一番最初に相談して、二人で解決していくのが一番いいんだけど。




でも





失いたくない。





だから離れるの―――