HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~



乃亜と梶と別れると、あたしは一人こっそりと職員用の昇降口に向かった。


職員用のきれいな下駄箱が並んでいて、水月の場所を見つけると扉を開けた。


上履きがまだ入ってるから水月は来てないみたい。


ほっとして鞄の中からセロファンの包みを取り出した。


中には頭にカラフルなボンボンをいくつもつけた変なクマのぬいぐるみ、“アフロテディ”(←勝手に名づけた)と、


夜中に作ったアップルティーフレーバーの手作りクッキーが入ってる。


ちなみにアフロテディはうちにあったやつだ。


手のひらサイズで、随分前に一目ぼれして買ったクマちゃんだけど、眺める以外利用方法がなかったから、これはゆずへのプレゼント。


ゆずは体に色々くっついているぬいぐるみが好きなの。


例えば目だとか口だとか、そうゆうものを口で噛み千切るのが好きみたい。(←結構残酷)


ゆず……会いたいな…


元気かな…


そんなことを思いながら、靴箱にプレゼントを入れていると、





「おはよ。僕の下駄箱に何か興味深いものが入ってた?」





水月の声がすぐ後ろで聞こえて、あたしはびっくりして飛び上がりそうになった。


恐る恐る振り返ると、水月が相変わらずの笑顔で…でも今日はどことなく安心したように表情を緩めて…


何かいつも以上に……




可愛いんですけど。




思わず顔が熱くなるのを感じて慌てて視線を逸らすと、水月の背後から


「爆弾でも入れたんじゃねぇだろうな」


ムカツク、エロ保健医の声を聞いてあたしは目を吊り上げて顔を上げた。