HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~






久米の秘密に一歩近づいて、



―――まるで示し合わせたように




ストーカーからメールが届いた。




これが何を意味するのか。




『これからが勝負だ。あいつには好き勝手させない』




久米は確かにこう言った。




―――あいつって誰。





――――


――


思わぬ事態に、あたしは予想以上に喉が干上がって乾いていたことに気付いた。


バカみたい。捕まえてやるって意気込んでたのに、実際ストーカーから連絡が来たらビビっちゃってさ…


自分に悪態を付きながら一階に降りると、開け放たれたリビングの扉から廊下に明かりがもれていて、中から梶と明良兄の声が聞こえた。


二人はどうやら眠っていなかったみたい。


「なぁ久米ってどうゆうヤツ?」


明良兄が部屋の中を所在なくうろうろしてる。長い影がいったりきたり。


「どうゆうって…まぁ一言で言やぁ優等生っすよ。爽やかだし気利くし、女子からすっげぇ人気があって…」


と、梶は言葉を濁らせる。


「でもなぁ、悪いヤツじゃなさそうだったんだけど。同士だし?」


「何だよ、同士って」


…………


明良兄が聞いて、梶は今度こそ口を閉ざした。