あたしは慌てて写真を手に取り、その写真を凝視した。
確かに―――…これは教室の外からの写真だ。窓枠が手前に映っている。
しかも
小さいけど教室の奥で久米が女子の一人と喋っている姿が
写っていた。
あたしは目を開いて写真を凝視し、前髪を乱暴に掻き揚げた。
「あたしとしたことが。こんな初歩的なことを見落としてたなんて……」
「頭が良すぎるのも問題だな。複雑に考えすぎだ」
明良兄が苦笑を漏らして慰めるようにあたしの肩に手を置いた。
確かに……明良兄の言う通り、複雑に考えすぎていたのかもしれない。
事件はもっと単純なんじゃないか―――
「さっすが先輩♪」
梶が明良兄を見て笑い、明良兄は「だろ~」なんて得意げ。
だけど梶はすぐに表情を引き締めると、
「でも、これで久米がストーカーの犯人から外れるってのはちょっと簡単過ぎじゃないか?
何せあいつは鬼頭を脅してきてるんだからな」
と言って腕を組んだ。
「もっと単純に考えるなら久米くんは犯人じゃなくて、ただ単に雅が好きってことじゃない?大体久米くんが雅と中学の頃接点があったっていう痕跡も見られないし。
好きな人のことを知りたいって当たり前の感情だし、それで先生とのことを知ったって方が無難じゃない?」
と乃亜が口を挟み、それでも自分自身の説に自信なさそうに眉を寄せていた。
『俺は全部知ってるよ?
俺と付き合って』
さっきの久米の言葉を頭の中で繰り返す。
久米があたしを好き―――……?