パソコン画面には黒い色のスマホが映し出されている。
「鬼頭、幾らお前がマイペースだからって、今見るもんじゃないだろ?」
梶も吐息をついて肩を項垂れた。
「買い換えるつもりで見てたんじゃないよ。これ、久米が使ってたケータイ」
あたしはみんなに見えるようパソコンの向きを変えた。
三人が同時にパソコンを覗き込む。
「これが?」
明良兄が眉をしかめて、あたしは以前ストーカーの野郎から送りつけられた写真をテーブルに放った。
「そのケータイは割りと最近のモデルで、でもカメラの画素数は約1000万程。その程度でこんな鮮明な写真が撮れるかな?」
三人が今度は写真を覗き込み、
「1000万じゃここまできれいには撮れねぇよ」
と梶が答えてくれた。
「でもケータイで撮ったとは言い切れないじゃん。例えばデジカメとかさぁ」と乃亜が僅かに眉をしかめる。
「ここまで鮮明に撮れてるからたぶん一眼レフだよ」と再び梶が写真を撮り眺める。
「何、梶カメラに詳しいの?」
「いや。俺じゃなくて兄貴が好きなんだ。たまに貸してもらうんだ。今はそれほどテクニックがなくてもきれいに撮れるぜ?」
一眼レフ……ねぇ。
久米がそんなカメラ持ってるのかな。
「でもお前ら根本的なこと間違えてるぜ?」
明良兄が写真を手に取りながら、あたしたち三人を見渡した。
あたしたち三人が明良兄を注目して、明良兄は居心地悪そうに肩をすくめた。
「これ、教室の中からじゃなくて明らかに外から取ってる。だってほら教室の奥の様子が映ってるだろ?」