□Forest.8



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「何でもないです。あたし今日も梶と帰るから」




雅のそっけない言葉を聞いて、それでもそれ以上追求できなかった。


教室に戻っていく彼女を追いかけることも、何か言葉を掛ける事も―――できない自分がふがいなかった。


しかも雅と時間を置いて教室に戻ると、彼女は早々に梶田と帰ってしまったし。


そう言えば雅は、最近やたらと梶田と仲がいい―――ように見えるのは気のせい??


梶田は楽しそうだが、雅は相変わらずの無表情。


それどころか真剣な顔つきで、久米の後をまるで追いかけるように出て行ってしまった。





また、久米――――か…





雅は一体、久米の何を気にしているのだろう。


かく言う僕も久米の行動が気になってはいる。


何せ、僕のマンションの前に居た理由も分かってないし、あの意味深な態度―――




『俺が実行委員になったのも、白雪姫の劇を提案したのも、主役に鬼頭さんを推薦したのも、全部下心があってのことです。



俺、鬼頭さん好きなんですよね』