「あたし絶対A組に勝ちたいんだよね!」と岩田さんが意気込む。
「あたしもだけど、何か熱入ってるね」
「だってA組の連中ってうちらをあからさまにバカにした態度なんだもん。そりゃうちらは頭良くないケド…
あ、でも鬼頭さんは別だけど」
と慌てて付け加えて、あたしはちょっと苦笑い。
「あ~…でも、森本さんもどっちかって言うとA組タイプだよね。頭イイケド、何か見下されてる気がしてさぁ。
いっつも一人だし、話づらいんだよね~。ああゆういかにも優等生ってあたし苦手……
実行委員だってのに、とっとと帰っちゃうし。ま、うちらにとって居ない方がいいんだけどぉ」
岩田さんの言葉を聞いて、あたしはそこではじめて森本さんが居ないことに気付いた。
「塾かなんかじゃない?」
気のない返事を返したけれど、岩田さんは気にせずに話題を変える。
「それより!A組の堤内って女!あいつはホントにムカツク。なぁんかぁ久米くんのことも狙ってるっぽいし~
誰が渡すかっての!久米くんはみんなの王子さまだっての!!」
堤内さんが久米のことを……?
「そんな風には見えなかったけど」
あたしは岩田さんに勧められた紅茶も飲んで、委員会のことをちらりと思い出す。
「そぉ~?だって用もないのにこのクラスの前良く通るし、
委員会だって久米くんが委員になったのを知って立候補したらしいよ。友達の友達がA組に居るんだけどね、その子が言ってたらしい。
しかもこの前なんて久米くんと下駄箱で親しそうに喋ってたんだよ?
顔を真っ赤にしちゃってさ、何か恥ずかしそうに笑ってんの。見てるこっちがキモいっての!」
岩田さんはプリプリと怒ってあたしは思わず苦笑い。
「岩田さんも久米のこと好きなんだ?」
聞くと、岩田さんはちょっとだけ探るように目を上げてあたしを見てきた。
「鬼頭さん―――も…?」



