あたしは挑発的に笑うと、久米はちょっとの間呆然と目を開いて口を僅かにあけていた。


「いや……」


台詞意外の言葉が出てきて、久米は慌てて咳ばらいをすると、


『でも!私が逃げたら女王さまに何をされるか…』


『じゃぁ戻る?』


すかさず台詞を被せ、





私と一緒に来て。私をを殺すなんてバカなこと考えないで。




もし殺すのであれば―――




私があんたを返り討ちにしてあげる。





久米―――もし、あんたがストーカーであたしの命を狙ってるのなら



あたしは黙ってやられない。





そんな気持ちを込めて久米の瞳をじっと見つめると、久米がたじろいだように一歩後退し…眉を寄せ、


『…私は城に戻るしかない。


しかし美しすぎるあなたを殺すことを私にはできない。女王さまにあなたの心臓を持ち帰るよう命令されているのです』


弱々しく久米が呟いた。


あたしは大仰にため息を吐いて、腕を組んだ。


『しかたないわね。じゃぁこの話はなかったことにしましょう?だけど私を見逃して』


『ですが女王さまにはなんて…』


『ちょっと考えればいいでしょう?例えば…そうね、家畜のブタなんかの心臓を持ち帰ってみてはどう?』


あたしが低く言うと、


『……なるほど、あなたは賢い』


と久米がほっとしたようにちょっと声を和らげた。