きれいな顔に180cmを超える長身。すらりと背が高くてスタイルもいい。


ちょっと長めの茶色い髪も、憎たらしいほど似合う白衣もしっくりとこいつになじんでる。


故に女生徒のこいつのファンは多い。


乃亜も―――恋心じゃないにしろ、こいつを慕っている。


「そんなこと言って余裕ぶっこいてると、いつかあっさりかっさわれるぜ?」と保健医はにやにや。


あたしは無表情に保健医を見た。


水月は長い間この保健医に片思いしてた。


こんなヤツのどこが好きなのかホント謎だけど。


親友だからって、こいつが水月の周りをうろちょろするのがたまに気に入らないあたし。


「余裕ぶっこいてて、かっさわれた経験のある人の言葉は説得力あるわ」


「んだとこらぁ!」


「ちょ、ちょっとこんなところで喧嘩はやめてよ」


乃亜が本気で困ったようにあたしたちの間に入ったから、あたしはそっぽを向いた。


こいつの口と態度の悪さやでかさに、最初は腹が立ったけど今ではいい喧嘩相手。


まぁ一種のコミュニケーションだよね。


恋人が優しい分、どっかでバランス取らないと。


いいストレス発散だわ。


そんなことを思っていると、制服のブレザーの中でケータイが震えた。


ケータイを取り出してメールを確認すると、知らないアドレスだった。


内容は、たった一文。








“君をいつも見てるよ”








あたしはため息を吐いて、ケータイを閉じた。