□Forest.6



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次の日学校へ行き職員室に向かうと、A組担任の石原先生が僕の元までやってきた。


石原先生はこの道20年のベテラン男性教師で、同時に2学年の数学教師でもある。


普通科普通コース4クラスに加え、体育コース、英語コースの4クラス、そして商業科2クラス、家政科2クラス、計12クラスの数学を僕と二人で分担しているってわけだ。


「神代先生、やってくれましたね」


石原先生は神経質そうにメガネを持ち上げて、僕を睨んできた。


細身で顔色が悪く、病的なものを感じるがいつだって声に張りがある。


よく透る声で開口一番そう言われて、僕は面食らった。


近くに居た先生たちも何事か顔を上げる。


「あの……僕、何かしました?」


おずおずと聞くと、


「今朝一番に文化祭の実行委員に聞きましたよ。うちのクラスのアイデアをおたくの生徒が盗んだとか」


はぁ?


僕は思わず顔を歪めた。


「あの、話が見えないんですが、どうしてそういうことになったんですか?うちはホームルームでちゃんと話し合って決めたんですよ。それにそもそもA組はカフェだと聞いたんですが」


「うちもカフェの前に演劇することを、実行委員が提案して決めたことです。困るんですよ。一所懸命考えた生徒の気持ちを踏みにじることをされちゃ」


石原先生は腕を組んで、僕を睨んでくる。


僕もその顔を睨み返してやりたかった。