HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~



カーテンを閉め切ったままのあたしの部屋のベッドで、三人一緒に腰掛けた。


お菓子やジュース(明良兄はちゃっかりビールの缶持ってきたケド)を持ち込んで。


お菓子類は明良兄からの差し入れだった。


「昔は良くこうして雅のベッドでお菓子食べたよね~」


乃亜がポテトチップスの袋を開けながら、ちょっと笑った。


「懐かしいな。おばちゃんに良く叱られたっけ」


「覚えてる。ベッドでお菓子食べないで!なんて言われたよね」


あたしはコーラのペットボトルに直接口をつけて、一飲み。


懐かしい味がした。


「昔はこのベッドが広く感じたけど、今はちっちゃく思うよね」


ポテトチップスを口に入れながら、乃亜が微笑む。


「あたしたちも成長したってことだよ。小学生だった明良兄が今は大学生だよ?しかも独り暮らしなんかしちゃってさ。(ついでに言うと浮気するワルい男にもなっちゃったケド)」


ちょっと意地悪く笑うと、明良兄があたしの額を軽く弾いた。


「お前だって小学生だったのに、今は女子高生。しかも担任と付き合ってるし。


昔は『お兄ちゃん』って二人とも俺の後をいっつもくっついてきたのに…なぁんか寂しい気もする」


しんみりと遠くを見ている明良兄の横顔を見て、あたしと乃亜は顔を合わせるとにやりと笑った。


「「おにぃちゃん♪」」


二人で明良の腕に絡まり、そのままベッドに倒れる。


「ぅわ!」


ドサッ


バランスを崩した明良兄はあっけなくベッドに沈み、あたしと乃亜は二人して笑った。


狭いシングルベッドに三人はちょっときついけど、でもこうやってくっついてると―――


昔を思い出して―――何だか安心できた。