HYPNOTIC POISON ~催眠効果のある毒~



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A組の連中と別れて、それでも駅までは四人一緒の方向だったから何となく一緒に駅まで向かう。


あたしは無表情にポケットに手を突っ込んで、梶はまだ怒りが治まらないのか道に転がった石を乱暴に蹴り、


久米は黙ったまま前を向いていたし、その反対に森本さんは何か言いたげにあたしの方をちらちらと見ている。


だけど結局口を開くことはなく、駅まであたしたちは無言だった。


「噂はあくまで噂だから気にしない方がいいよ」


駅について定期券なんかを出しているとき、まるで何かのついでのような気軽さで久米が口を開いた。


あたしが無言で顔を上げると、


「そうだぜ!あいつら鬼頭に勝てないから僻んでんだよ。毎回学年一位お前だしA組としてメンツが保てないことに苛立ってるだけだ」


と梶が勢い込んできた。


「別に、気にしてないけど」


とあたしが無表情に言うと、梶がほっとしたように頬を緩めた。


久米の一言で、何となくピリピリした雰囲気が和らいで、


「梶、今日も一緒に帰る?乃亜のうちでも行く?」なんて話題を逸らすと、


「おう!もちろん!♪」


と嘘の話題に梶がノッってきた。


「じゃ、俺も一緒に行こうかな。送ってくよ、鬼頭さん」


なんて久米もちゃっかり言ってるし。


その中で森本さんだけは、俯きながら定期券を握り締めている。





「―――…でも、噂があるのは本当だよ。



あたしの……お母さんも言ってた。鬼頭さんは―――先生たちに色目使ってるって」