「アイデアが被るのは良くあることです。それにその時間帯は2-A、Dだけではなくその他数クラスも希望に入れている。
希望クラスの中で、譲り合い、話し合いで決めるべきだ」
議長がもっとも安易なアイデアで、その場を治めようとした。
言葉の裏に、自分たちが決めるものでもない。勝手にやってくれ、という感じがにじみ出ている。
「はい」
その隣で今度は久米が冷静に挙手した。
「まだ何か?」と議長がうんざりしたように久米を見る。
「俺たちは球技場の使用を希望します。それなら今のところどのクラスも希望していないですよね」
あたしは目をまばたいて久米を見た。
球技場は…体育館の三分の一程度の大きさだ。
だけど体育館と同じように舞台もあるし、照明や緞帳なんかの設備も体育館と同じだ。
「まぁ確かに。今のところ球技場はどこも予定がないけれど」
「ダメってわけじゃないですよね。じゃぁそこを希望します」
議長たちはそれぞれ副議長や書記なんかと顔を見合わせて、「どうする?」なんて声をひそめていた。
「おい、久米!球技場なんか誰が来るって言うんだよ」と梶が声をひそめ、
「そうよ。ただでさえA組には予算で負けてるって言うのに」と森本さんも同意していた。
だけど―――
「いいんじゃない。その案」
とあたしは机に頬杖を着いた。
「鬼頭!」と梶は不服そうに声を尖らせたが、
「A組よりいいものを演ればいいだけの話だ。規模の大きな体育館と、規模の小さな球技場。
俺たちが話題を集めるような…A組に勝てるようなものを作れば、
カフェに客が来ること間違いない」



