「2-Dの出し物は白雪姫の演劇。その後教室で白雪姫の喫茶店をやる予定です」
あたしの淡々とした報告に、教室中がざわめいた。
「2-Aと一緒じゃない?」
「それっていいの?」
方々でひそひそと喋る声が聞こえてくる。
特にA組の連中たちは、苦い表情を作ってあたしの方を睨んでいた。
「他クラスと類似してる部分はありますけれど、同じ趣向の出し物を出してはいけないとは決まってませんよね」
あたしは腕を組んで前に座る議長を見据えた。
議長はたじろいだようにまばたきをすると、隣に座った副議長の女生徒の顔色を伺うようにちらりと見る。
「確かにその部分での規定はありません」
副議長が議長の変わりにきっぱりと答えた。
「じゃぁ、演劇は午前最後の時間帯に体育館を希望します」
ガタッ
A組の委員…今度は女子が立ち上がった。
「2-Aもその時間帯、体育館を希望してました!あたしたちの方が先です!!」
いかにも気が強そうな女子が怒鳴るように言い放った。
「異議あり」
あたしも返す。
負けてられるかっつうの。
「先とか後とかは関係ないんじゃないでしょうか。委員会議はそもそも体育館スケジュールの調整や出し物の報告をするために開かれたものですよね」
「それはまぁ、確かに」と議長の男子が顎に手を当てる。
A組女子は悔しそうに唇を引き結んで、あたしを睨んできた。
「でもあたしたちと同じ出し物です!!D組がアイデアを盗んだに違いないわ!それは不等な申し出よ」
「はぁ!?パクったのはそっちだろ!」
と今度は梶がいきり立って席を立ち上がる。
「何ですって!」
「か、梶田。落ち着いて」と久米が慌てた。
「静粛に!!」
バンっと議長が机を叩いて、場がしん…となった。
まるで国会の会議みたいに荒れそうになった場を見渡して、あたしはため息を吐いた。



