□Forest.4



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雅とキスをすると僕は幸せになれる。


彼女の赤くて柔らかい唇が甘美な世界へと誘う。


彼女の香りを身近で感じると―――安心する。





『そう言えば水月、森本さんのこと気にしてたよね?


大したことないけど、さっき梶たちが教室で堂々と下ネタを“お喋り”してたら、冷たい目で睨んでてさぁ『サイテー』だって一言。


いかにも潔癖そうな森本さんの言うことだよね』


雅の何気ない一言に、僕はいつも以上にドキリとした。


昨日、結香さんに会わなかったら、僕は雅と同じ意見だったろう。


『潔癖そう』と言うことがいけないわけじゃない。むしろ学生だしそれぐらいの方がいいに決まってるが…


結香さんの話を鵜呑みにするわけじゃないけど、僕はどうも森本をそういう目では見れなくなっていた。


昨日結香さんと喋ったことは雅に話していない。


森本にとってはデリケートな問題だし、彼女本人もそうだが結香さんも関わってるとなると、そう簡単に他人には喋れない気がした。


だけど僕一人だけで解決できる問題でもないし…




―――結局…


「お前はその姉貴の話を信じるのかよ」


授業のない6限目に、やっぱり僕は保健室に来ていた。