ラックが立ち並ぶ奥まった場所へと引っ張られると、ぎゅっと抱きしめられて甘いキスが降りてくる。


「僕も会いたかった」


水月の柔らかい瞳を見て、心が急に凪いでいく。


色々不安で、色々考えることがあったけど―――水月とのキスで全部きれいになっていく様だ。


あたしは水月の頬に手を置くと、彼の顔を引き寄せ今度は自分から口付けを交わした。


浅く、深くキスを交わしているうちに水月の腕が腰に回り、きゅっと一層強く抱きしめられた。


こうされると幸せで―――その先を想像するとちょっと耳の裏がくすぐったくなる。


だけど…顔を上げてキスを繰り返していると、首が痛くなってきた。


ちょっと首を後ろに逸らして顔をしかめると、水月がすまなさそうにちょっと笑った。


手を繋いで床に座ると、多少楽になって同じ目線になると水月をもっと近くに感じた。


「身長差はどうにもならないよね。大丈夫?」首の後ろを撫でられて、あたしもちょっと笑った。


「水月でこんなんだから保健医だったら骨曲がるよ」なんて言うと、


「まこ、となんかとするなよ。もちろんまこ以外も」と水月がちょっと拗ねる。


「しないよ。想像だけ」


「想像だけでもダメ」耳元で囁かれて、もう一度キスされると


一瞬でも想像したことがきれいに吹き飛んでいく。


水月の手があたしの腰に回って、引き寄せるように抱き寄せられてあたしはちょっとだけ顔を上げた。


「学校だよ?」悪戯っぽく笑うと、


「じゃキスもだめじゃん」と水月は笑った。





「二人だけの課外授業だよ」





「内容は保健体育?」意地悪く聞くと、水月が小さく笑みを漏らした。