「…なん…ちょっと興味持あり??お前鬼頭のこと…気になるの?」
梶が探るように久米に問いかける。
最初はどうなるかと思ったけど、流れ的には悪くない。
「まぁ面白い人だよね」と久米が笑う気配がした。
肯定とも、否定ともつかない言葉だ。
久米は頭がいい。良いだけじゃなく回転も速い。
不用意なことは口にしないだろう。
久米がストーカー事件に関係あってもなくても、あいつはあたしという人間そのものを―――どこか警戒してるみたいだ。
これ以上は無理かも…
やっぱ簡単にはいかないか。
ため息を吐いて窓の外を見ると、
「俺の好みは強い人かな」と久米の声が耳に入った。
あたしが何となく顔を戻すと、久米がこちらに顔を向けていて、視線が空中で絡み合った。
「何も屈しない―――まっすぐで、自分だけの信念を持った人。
そうゆう人が好きなんだ」
久米の目がまるで挑発するかのようにあたしを見て、あたしはその視線にそれ以上の敵意を込めて見返した。
梶も困惑したようにこっちを見ていて、
「…それじゃさ、今まで付き合った女もそうゆう女…?」と話題を変えた。
「…いや」梶の質問に、久米は顔を戻しまた気のない素振りで雑誌をめくりはじめる。
なんなの。あいつ―――



