■Forest.3



◇◇◇◇◇◇◇◇



その日の晩は―――あまり眠れなかった。


泡沫の眠りの中、小さな物音がしては、はっとして飛び起きる。


そんなことを繰り返して、眠った気がしない。


重い頭を奮い立たせながら、次の日がやってきた。


幸いにもストーカーの野郎からケータイに連絡がくることはなく、下駄箱にも何も入っていない。


それだけが唯一の救いだったが、同時に嫌がらせのようなメールがこなくなったのが気味悪かった。




―――「何考えてんだろ」


昼休み。お弁当を食べ終えてあたしはケータイを開いたり閉じたり。


乃亜はクラスメイトの男子たちと談笑している久米の方をちょっと気にしながら、


「雅が昨日家に帰ったから、安心してるんじゃない?」とこそっと喋りかけてきた。


「そうかな。そうとは思えないけど」どこか納得ができずにあたしは机の上に頬杖をつくと、目を細めて久米を見た。


「今日さ。文化祭の実行委員会じゃん。帰りが遅くなるし、それまでに分かればいいんだけどな」


と梶が思い出したように言う。


そうだった…


面倒なことを思い出してあたしが額に手をつき、そのときスカートのポケットの中で何かが転がった。


あ、そうだ。USBメモリ……