それでもどんな考えを持っているのか、僕は目を細めて聞いてみた。
「裏工作って言うのは、具体的には?」
「変な噂があったんですよ」森本の母親は森本には聞かせたくないのか、声を一段と低めて、まるで内緒話をするかのように手を口元に当てた。
「…その…先生たちに…体を売ってるとか…」
はぁ―――!?
「保健の先生とも何かあるらしくて、保健室でいかがわしいことをしてるとか、してないとか…」
「ちょっとお母さん!」森本が勢い込んだが、僕は母親のぶっ飛んだ発言にくらくら…
雅とまこが―――……?
“保健室でイケナイ授業”
そんな安っぽいタイトルが僕の頭の中を流れて、くらりと眩暈みたいなものを覚えた。
何だよ…そのエロビデオみたいなタイトルは!!
いや、絶対にありえないことだからこんな風に思ってしまったんだ。いかん、いかん。
慌てて頭を振ると、
ゴホンっ
咳ばらいをして、お母さんをちょっと睨んだ。
「鬼頭は確かに成績優秀な生徒で、一方ではあまり良い噂を聞かれないかと思いますが、断じてそのようなことはないです」
はっきりとそう言い切ると、僕の強い言葉にお母さんがちょっと目をまばたいた。



