「私思うんですがね、その子…毎回毎回ほぼ満点に近い点数らしいじゃないですか」
お母さんはいつになく神妙な面持ちで身を乗りだした。
「はぁ」若干引き腰になりながらも僕は目だけを上げる。
「聞けば色々問題がある子だとか」
「はあ…」
お母さんが何を言いたいのか、僕には全く分からなかった。
「保護者会のとき、他の生徒さんのお母さんたちに聞いたんです。仲良くしている友達も素行の悪い子たちだと」
これにはさすがに僕もムッときた。
雅の周りに居る楠や梶には若干数問題があるものの、悪い子たちじゃない。
「…お、お母さん」森本が困ったように、母親の腕に縋る。
それでも母親は続けた。
「あんたは黙ってなさい。そんな噂のある子が一位なんて信じられませんわ。
きっと何か裏工作でもしてるんじゃないかと」
は―――………?
森本の母親からとんでもない憶測がでてきて、僕は怒り出す…
と言うよりもその考えに呆れかえってしまった。



