『俺も薄々気づいてた。あれは、本当の俊じゃないよ』 ああ、やっぱ狂ってしまったんだ。 そう、思った。 私は、自分と、周りにいた男子が憎くなった。 佐々木尚…… あの件が、きっと引き金だった。 けれども、私だって、 がんばればあの手を振りほどけたかもしれない。 俊を変えてしまったのは、 私なのかも――――――― 涙が、止まらなかった。 それでも声をふりしぼり。 「私、決めたの」