頭の中に色んな言葉が浮かび、埋めつくされていく。


思い出したくない過去の記憶が、蘇る。


優しく差し出された手を、何の疑いもなく繋いだ自分。


眼鏡に映った丸い月。


アルミホイルとストロー。


写真のスライドショーのように、一瞬一瞬の時間が鮮明にまぶたの裏に映った。


屋上の柵に跨って泣いてる女の子。


後ろに見える低い月。


あぁ、あの子だ…。


あの子は最期に何て言ってたっけ?


柵の向こうで死にたいって叫んだ後、私を振り返って何て言った?


「…はるちゃん、待ってるね」


「え?」


小さく思い出すように呟いた私に、あの時の私と同じ返事をした陽介。


現実と過去の境界線が消えていく。