「岩崎…さんって職員いたの覚えてる?」


そう思っていたのに、何で私は彼の名前を口に出したんだろう。


「岩崎…?」


陽介が首を横に傾げたが、絶対知っている。


「…てっちゃん…」


みんなに呼ばれていたあだ名。


何年振りに呼んだだろう。


ヤバイ、手が震えてきた…。


膝の下に手を入れ、震えているのを陽介にバレないようにした。


「てっちゃん!懐かしいな!岩崎って名字だったんだ(笑)」


無邪気に笑う陽介から目を反らすと、陽介の笑い声も止まった。


「…てっちゃんって、施設で死んだんだよな?」


跳ねそうになる体を必死に抑えながら、ゆっくりと頷く。


「俺その時ほとんど施設に帰ってなかったから、連絡きてすげー驚いたの覚えてる。…事故だっけ?」