歩いて

私の頭の中に、なぜか由亜のことが浮かんだ。





仕事中に由亜のことを思い出すことなんて滅多にないのに…。





大きな風が吹く。




葉が大きく揺れる。




私は、その様子を何気なく見た。








「…」







どうしてだろう。






会いたくなかった。







もう、これ以上気持ちをかき乱したくないのに…。









「…快斗」








私は、小さな声を出す。