歩いて

「果菜ー」



知香に電話をかけると、呼び出し音が鳴るか鳴らないかくらいで、知香のテンションの高い声がした。



「どうだった?」



「何が?」



「もう、しらばっくれて」



私には、知香のテンションがどうしてこんなに高いか気になる。



「どうしたの?」



「こっちが聞きたいことよ。
で、どうだった、勇太のプロポーズ」



プロポーズ。



その言葉とともにわたしの顔は真っ赤になる。



…。




でも、勇太はこんなことも知香に相談するの?




それとも、知香が勇太に持ちかけたの?




「…ねー、勇太とそんなに仲がいいの?こんな一大事なことも知香にはじめに言うの?」




少し不機嫌にいう。




「もしかして、やきもち?」




少しからかったように言う。




「違う、そんなんじゃない」



「いいんだって。勇太のことが好きだからやきもちやくんでしょ。
実は、少し前から勇太から相談されてたの。プロポーズしてもいいかなーって」




「私は、つきあいが長いしそろそろ言ってもいいんじゃないかって」



「…」