歩いて

「春川、まだいたの?」


びっくりする師長さんの声が、夜の病棟に響く。



師長さんは大きすぎた自分の声に口をふさぎ、まわりをきょろきょろみる。



「もうすぐ私の主催の勉強会があるので」



私は小声で話す。



「あんまり頑張りすぎないでね」



「はい」



私は、会釈しナースステーションへ入る。



時計は夜の8時を指していた。



私は、自分の荷物を持ち、急ぎ足で更衣室へ向かう。