歩いて

私は、無言でてりやきバーガーを食べる。



飲みこむようにてりやきバーガーを食べる。



直斗は、じっと私を見ている。



食べ終わる頃には、私の胸は熱く、締めつけられていた。



「おいしかった?」



「…」



うなづく。



「よかった」



「…」


直斗は静かに笑った。





「果菜のことだから、きっと自分のこと責めてるだろうなって思って。由亜の急変は仕方なかったことなんだって、もともと状態はよくなかったってお母さんが言ってた。あんなに、元気そうにみえたのに。由亜は本当はわかっていたのかもな、自分の最期が近いことを…」



私はだまって聞く。



「俺は気づいてやれなかった。今になって思うよ。
由亜は、何も変化を求めてなかったのかなーって。いつも通り、4人で仲良く話しをしたり、笑い合ってる。それが由亜の望みだったんじゃないかって。
でも、俺たちは、何もわかってなかった。それぞれが、由亜のためにって思っていたことが由亜のためじゃなかった。それぞれが違う方向を向いていたのかなーって思う」


「…」


「俺だって自分を責めた。快斗も今も責めている。果菜もきっとそうだろうなーって。
でも、俺たちがそんなことだったらなにも進まない。
由亜に対してなにができるのか、考えれば考えるほど自分を責めるしか方法が見つからない」


「…私は、…私はそれが答えだと思う」



何もなかったように過ごすことができるの?



由亜の気持ちがわからないのに…、



何が答えかわからないのに…。



「俺は違うと思う」



直斗は、席を立ち出口へ向かった。



もう、会うことはない。



私達の関係は今日で終わる。