歩いて

放課後、学校近くのファストフードのお店に行く。



直斗と待ち合わせしている場所。



ここで、直斗と会っている時に由亜の入院の連絡がきた。



あの時は、由亜が死ぬなんて考えもしなかった。




「果菜」



店内に入ると、直斗は奥のテーブルからわたしを呼ぶ。



今日も店内は学校帰りの学生で混み合っている。



「…」



無言のまま椅子に座る。



「ちゃんと食べてないだろ。てりやき買っておいたから食え」



私の好きなてりやき。



トレーにてりやきがおかれている。



でも、手をだすことはできない。



もう、あの頃と違う。



私と直斗の立場は違う。



「食べなかったら俺がもらうよ」



「…」



うなづく。



「…」



直斗は何も言わなくなった。



私も何も言わない。



しばらくすると、直斗はてりやきを私に差出し、



「…もう果菜に会うこともないだろうから、最後だから食べな」



「…」



最後…。



そうだよね、もうこんな風に会うなんて思ってなかったし。