歩いて

「雨?」



誰かの言葉と同時に雨が降り出す。



初めは、小雨だったのに、すぐに本降りになる。



焼香に並んでいたみんなは、屋根のある所へ避難する。



雨の勢いは強くなる。




私の体を勢いよく打ち付ける。



すぐに、私はずぶぬれになる。



私は、顔を上げる。



その正面に由亜の遺影が目にはいる。



由亜は笑っている。



由亜、本当に今は楽になった?



もう病気は治った?



私の話聞いてくれる?




私は、膝からくずれ落ちる。



そんな私に傘をさす人。



…直斗。



「…自分で立てよ」



直斗はいつだって私達のことをわかってくれる。



そうだよね、由亜。



「…」



私はゆっくりと立つ。