歩いて

いつからだろう、この4人でいるようになったのは。



牧田由亜が、引っ越してきてから。



私と同じ幼稚園に通うようになってから。



いつのまにか、いつも一緒にいるようになった。



藤野快斗とは、いつのまにか一緒にいた。



由亜の隣にいつのまにかいた。



そして、快斗の兄の直斗も一緒にいるようになった。






由亜は、生まれつき心臓が悪い。



幼稚園の頃から、体育は見学。



お泊り保育、遠足は欠席。



出会った時からそうだったから何も不思議に思わなかった。



でも一度だけ卒園前のお別れ遠足に来た。



母親と一緒に。



由亜のあの時の笑顔は忘れない。



透き通る白い肌が、私にはピンク色に染まって見えた。



笑い声がいつもより、大きく感じた。



由亜が、なにかするたびに母親は心配そうに見ていた。



先生も、いつも手を差し伸べていた。



でも、由亜はいつもより活発に動いていた。



そして、由亜は倒れた。



私の目の前で急に倒れた。



さっきまでピンク色だった頬も唇も真っ青になっていた。



私は、その場に立ち尽くすだけ。



味わったことのない、恐怖が私を包む。



私の視界に、快斗が見えた。



快斗はじっと由亜を見ていた。



一瞬快斗と目があった。



私は、すぐに目をそらす。




その日から、私の中で何かが変わった。