歩いて

病院のロビーを歩く私の肩が力強く背後から押さえつけられた。



振り返ると、直斗がいた。



「ちょっと来い」



厳しい表情。



直斗と私は病院の駐車場に来た。




「お前なに考えてる」


低いトーンで話してくる。



怖い。



当たり前だよね。



あんなことを由亜に言うなんて。



「お前、快斗のことが好きだったからあんなこと言ったのか？それだったら俺はお前を許さない。自分の気持ちを隠したまま由亜にあんなことを言うなんて、最低だよ」


「私の気持ちなんて関係ない。快斗のことが好きなのは認める。けど私には由亜の方が大事。由亜が笑っていてくれるだけで私は満足。でも、快斗がこの関係を壊した。それをこのまま続ける意味がある？私はこれからも由亜のそばにいる」


「訳わかんないこと言うなよ。お前と快斗が何を考えてるのかわからない。話は単純なんだよ。このまま4人でいままで通りに過ごし、快斗や果菜に彼女や彼氏ができたらみんなで応援する。いつかは、由亜にも彼氏ができる、それを俺たちは喜ぶ。ただそれだけの話だろ？今は、由亜のそばにいることが最善の選択じゃないのか？由亜は病気なんだ、みんなで励ますのが俺たちのすることだろ？」


「直斗はわかってない。由亜を失いたくない。もうあんな怖い思いをしたくない。快斗もそう思ってると思ってた。私は一度は由亜から逃げたけど後悔している。由亜のことが気になって仕方ない。いじめの件でも私がそばにいたら気づけていた。私が逃げたからこんなことになった」


「うぬぼれんな。自分がいたらこんなことにならなかった？何様のつもりだよ」


「私は、あの時からこうしてきた。それでうまくいっていた」


「お前と話していても答えなんか導きだせない」



直斗は、そういい病院へ入っていった。