歩いて

由亜の失恋。



こんな形で終わるなんて。



快斗が本当に好きでつきあっているかわからない。




でも、由亜が選ばれなかったのは事実。



由亜は静かに微笑んでる。


「なんかすっとした。できなかった問題が解決した感じ。私のそばにいつもいてくれるからいつかは彼氏彼女の関係になれるかもって図々しく思ってた。でも、私じゃなかった。これですっきりした。快斗ももう私に縛られない人生を送ってほしい。普通に恋をして。いろんな所に遊びに行って。花火大会行ったり、映画を見に言ったり、買い物に行ったり…」


由亜は泣いている。



私は、ベッドサイドに座り、由亜の言葉をずっと聞く。



初めての失恋。



初恋からずっと由亜のことをみていた。



だから最後もずっとそばにいる。



「由亜、これだけはわかってほしい」


直斗が改まって言う。



「快斗は由亜のそばにずっといたのは同情とかそんなんじゃない。大事な親友だから。自分で守りたかったから。恋愛じゃない形で由亜と快斗はつながっていた。俺は、お前達の関係はそうだと思う」



「それなら快斗自身が由亜に説明してよ」



私は直斗をにらみつける。



そんなきれいごと。



「果菜、いいの。私はわかってるよ、私達は親友。これからもずっと私達の関係は壊れない」


本当にそう?



「またみんなで花火したり、快斗の家に行ったり、今まで通り親友でいようね」



本当に今まで通りで過ごせるの?



「…無理だよ」


「えっ」


果菜の表情が戸惑っているのに気付いた。



みんなもう今まで通りなんて無理だってわかってる。



快斗が病院に来ない時点でもう私達の関係は変わってきている。



「果菜、お前がなんでそう言い切るんだ。快斗に彼女ができたくらいでこの関係は崩れるのか?友達なら友達の恋愛を応援するのがあたりまえだろ?違うか?」


直斗の表情は、私に対する怒りと呆れた感情を見せている。