歩いて

「ハンカチ、洗って返すから」

「いいよ」

「また会いたいから」

「…」

えっ…。



直接、会いたいなんて言われると私もどうしていいかわからない。



「勇太、そんな恥ずかしいきざなことよく言えるね」


知香が呆れ気味に言う。



私は、耳まで真っ赤になっていた。



勇太くんの顔をみることができない。



恥ずかしい。



そんな私の様子を見て、


「ごめん。でも俺の気持ちわかってるよね」


「…」


なんて答えたらいいの。



「俺、果菜のことすごく好き。もっと色々果菜のこと知りたい。まだ、お互いよく知らないからつきあおうなんて言わない。果菜が俺のことを知って、よかったらつきあってほしい」


「…」


私は、顔を上げる。



勇太くんはまっすぐわたしの顔を見ている。



なにか、返事をしないと。



でも、言葉がでない。



私の気持ちもまとまらない。



「突然で驚いたよね。返事は考えてからでいいじゃない。果菜にゆっくり考えてもらってね」


知香が助け舟を出してくれる。


「ごめん。驚かして」


「うん…」