歩いて

私達は2人並んで歩く。



何も話さず、まっすぐ歩く。




長い沈黙。



私には、とても辛い時間。



のどの奥がひりひりする。



でも、わたしは泣かない。



もう、決めたから。




「…わかってた。果菜の気持ち」



「…」


快斗の方を見るが、快斗はまっすぐ前を向いたままだった。



「俺も由亜の気持ちわかってるのに逃げてばかりいる」



由亜が快斗のことが好きっていうこと?



「由亜の気持ちに応えられないから、そばにいるだけでもって」


…。



快斗の気持ち、初めて聞いた。



「そのことで由亜を傷つけた。由亜とつきあうこともできたけど、偽った気持ちのまま由亜と向き合うことなんてできない。由亜も同情されたって余計に傷つくと思ったから」


「…でも全然好きじゃない子とつきあうって」


「由亜のいじめがなくなるならって思い込んで」


「由亜は、わかってると思うよ」


「…」



快斗が大きく溜息をつくのがわかった。




「…俺の気持ち。いつまでも正直になれない」



…?



快斗のことを近くに感じた。