歩いて

「あれ、快斗は?」



そういえば、快斗の姿がみえない。



「みんなが来るからジュース買ってくるって。きっと、私と二人っきりになるのが気まずいんだろうね」



由亜の表情が寂しそうに見えた。



「誰にも入院したこと言いたくなかったけど学校には言わないといけないし。それで、快斗、先生から聞いたみたい」


「内緒にできるわけないよ」


直斗は笑って言う。



私はなんとなくわかった。



「…昨日のことがあって入院だから」



「…そうかー」



直斗も察したようだった。





そこに、快斗が売店の袋を持ち病室に戻ってきた。



「ジュース俺のおごりだから」



快斗は愛想なくジュースの入った袋をベッドの横の台に置く。



「当たり前だ」



直斗は、アイスティーを私にわたし、由亜に好きなものを選ばせていた。




顔を上げると快斗と目があったがすぐにそらされた。




由亜は、何も変わりのないように見えた。




そして、昨日のことは誰も話さなかった。