歩いて

病院につき快斗から聞いた病室へ向かう。




久しぶりにこの病院の病棟に入った。




幼稚園以来。




あの日、由亜のお見舞いに来た日以来。




幼かった私でも今でも鮮明に覚えている。




その頃にくらべると内装は変わったけど、病棟への行き方は覚えている。




病室の前に着く。




直斗が先に入る。



「由亜、大丈夫?」



「うん。平気」



由亜のいつもとかわらない声がする。




私は、ゆっくりと由亜のベッドのカーテンをめくる。




由亜は上体をおこし座っている。




病院のパジャマを着ている由亜は、私の姿を見、微笑んだ。




その顔をみ、緊張がほぐれた。



「ごめんね、驚かせたね」


「突然だったから驚いた」



いつもの由亜だった。



私は、この笑顔をいつも望んでいる。



この笑顔をみると私は安心する。