「快斗、どういうこと?説明しろ」


直斗の表情も厳しくなっていた。



由亜が快斗のことを好きなのはみんな知ってる。



でも、快斗は由亜とつきあうこともせず、ほかの誰ともつきあわなかった。



そんな快斗が、私の知らない子とつきあうって。



私は、由亜が大事そうにだいているかばんが目に入った。



かばん…?



「由亜、かばんみてもいい?」


「…」


私は由亜のかばんを横から抜き取る。



由亜も抵抗せず、かばんから手を離した。




私はかばんを開ける。




「…」




そこには、びりびりに破れ、泥のついた教科書やノートが入っていた。




誰がみてもわかる。




故意に破られている。




由亜の顔をみるが由亜はうつむいたまま。



「由亜…」



私は言葉につまる。



自分は何も気づかなかった。



何もできなかった。



守ることができなかった。



由亜の背中に抱きつくことしか、私にはできなかった。