「勇太、お待たせ」


「うん」



勇太は、車の前で待っていた。



その時、一台の車がとまり、3人の家族が車から出てきた。



夫婦と小さな女の子。



今から、お墓参りの人たち。




女の子は一人走り、私の前を通り過ぎる。




「危ないから、走らないで」



その子の母親が、女の子に声をかける。



でも、女の子はまだ走る。



「ユア」



「えっ?」


ユ…ア…?



私は、その女の子を見る。



女の子は、立ち止まり母親に笑顔を見せる。



私は、その様子をじっとみていた。



そんな私に気づいたのか、女の子は私に笑顔を見せた。




「…」



胸の奥からわきあがってくるものがある。



私は、女の子に笑顔を向けた。



「…」



私は、姿が見えなくなるまでその人たちの後姿を見ていた。