夜、知香に電話をかけた。


「今日はごめんね」


私は恐る恐る言うと。


「私の方こそごめんね。果菜と勇太のことからかいすぎた。反省してる」


意外だった。


きっと勝手に帰ったことを怒ってると思っていたのに。


知香は元気のない声で話す。


「勇太にも芯にも怒られた。無神経だって」


「違うよ、私のほうこそこんなにみんなに楽しませてもらったのに、突然帰るなんてすごく失礼なことして、ごめんね」


「果菜ー、よかったー。絶対もう口もきいてもらえないと思ったから泣きそうになってた。果菜はなにも悪くないよ。私、すぐに調子にのるから、本当にごめんね」


「私も、知香に幻滅されたって思ってた。友達なくしたって思ってた」


「なに言ってんのよ。果菜は私にないものいっぱい持ってるから、私の憧れなんだよ」


「…知香、なんか恥ずかしい」


私は、赤面した。


電話でよかった。


「いいの。それより、今日のあの人は誰?」


「あー、幼なじみ」


「えっ、結構年上じゃない?」


「今22歳。大学生。あの人の弟と幼稚園が一緒でそれで」


「ふーん。彼氏とかじゃないんだよね」


「違うよ」


「勇太がすごーく気にしてたから」


なんか、どきっとした。


「勇太、果菜のこと気に入ったみたいだよ。本人は気づかれてないって思っているけど、ばればれ。勇太、単純だし素直だから。本当にいい子だからよかったら考えてあげて」


「…うん」


私も、気づかないわけじゃなかった。



でも、こういうことが初めてでどうしたらいいのかわからない。



いい人っていうのはわかった。



でも、私はまだ快斗のことが気になっている。



そんな簡単に忘れられない。



叶わない恋。