「果菜、そろそろ暗くなってきたしいいんじゃないか」


「そうだね」



快斗は、持っていたビニール袋から、線香花火を出す。




「水は、この空き缶に入れておいたから」



快斗は、花火の準備をする。



「でも、果菜の旦那は男と二人きりで会うなんてよく許したな」


「勇太とは、いつもなんでも話し合ってるの。
今日は、私にとって大事な日だってわかってるから」


「いい旦那みつけたな」


「うん」


私は、力強く答えた。







線香花火を2人で持つ。



火をつけるとちりちりと音をさせ、火花が散る。



「果菜、ありがとうな」



「えっ?」



「俺が生きてるのって果菜のおかげだって、直斗が言ってた。
果菜が俺を連れ戻したんだって」



「違うよ。由亜のおかげ」



「…果菜と由亜のおかげだな」



「だから、病気に負けないでよ」



「わかってる」



「でも、あの後すごく怒られたんだから。知り合いだからって病室で大声出すなとか、家族の前で死ぬとか言うなとか、治療の邪魔だとか、それにあの後いろんなひとからじろじろ見られて恥ずかしいんだから」


「ちょっとした有名人だな」


「元気になってくれたから別にいいけど」



快斗の件でこってり看護部長から怒られた。



師長からは、色々詮索された。



快斗の関係とか。