歩いて

バスを降りると、潮のにおいが鼻に入ってくる。



快斗といった海。




もう、夕方だから海には海水浴の人がまばらにいるだけだった。





私は、砂浜に行く。




夕方だけど、まだ暑い。




歩く先に、快斗の姿が見えた。




「お待たせ」



「うん」





快斗はじっと海を見ている。






私は、快斗の隣に座り、快斗と海を見る。





夕日がきれい。




「行ってきた?」



快斗はぽつりと言う。



「うん」



「大丈夫か?」



「うん。
由亜とちゃんと向き合えた。
快斗も行ったんだね」


「うん」



「俺も、由亜と向き合わないと前に進めないから」



「…大丈夫?」



「うん」



快斗と私は、またなにも言わず夕日を見ていた。



私は、快斗の隣でさっきもらった由亜の手紙を出した。