歩いて

私は、大きく息を吸い込む。




なんか、すっとした気分になった。





ここに来れてよかった。




「…果菜ちゃん。本当にありがとう」




いつのまにか、母親が後ろにいた。




また、涙を浮かべている。




私は、仏壇の前からどいた。




「おばさん…、本当にごめんなさい。ずっとあやまらないといけないって思ってたの」



「やめて、あやまらないで。それよりか、私は、果菜ちゃんに感謝しているの。
由亜の友達でいてくれてありがとう」



「…」



「この写真だって、果菜ちゃんと快斗くんがいるからこんな笑顔を見せてくれた。
心臓が悪いから、いつも制限ばかりで、由亜には悪いことをしたなーって思ってるの。
でも、果菜ちゃんたちがいたから由亜は充実した人生を送ったと思うの。
親の私ができなかったことを、由亜にしてもらってありがとう。
本当にありがとう」



そんな、私は感謝されることなんかしてない。



「私が、…由亜にひどいことを…。だから…」



「果菜ちゃんも快斗くんも同じこというのね」


「えっ?」


「つい最近快斗くんが来たの。その時も、果菜ちゃんみたいに自分が悪いって、ずっと私にあやまるの。でも、果菜が死んだのは、だれのせいでもない。
果菜の心臓はもう限界だったの。お医者さんにもそう言われた。今までこんな元気に生きてたのが不思議だって。
…だから、果菜ちゃんたちがいてくれたから、私は、由亜とたくさんの思い出をつくることができたの。
ありがとう」



「…」




私の目から涙が溢れる。




とまらない。




「…」




その瞬間、由亜の母親が私を抱きしめる。






温かいぬくもりが私を包み込む。





私は、我慢できず声をあげ泣いていた。





「ごめんなさいね。
ずっと苦しめてたのね。
…ごめんなさい」




由亜の母親は、ずっと抱きしめていてくれた。





私の背中をさすりながら。