歩いて

「由亜にお線香あげていい?」



「うん。由亜、きっと喜ぶから」



母親は、部屋から出て行った。





私は、仏壇の前に座り、由亜の写真と向き合う。




お線香をろうそくに近づけ火をつける。





一筋の煙が上に登っていく。




私は、手を合わせる。




「…」





由亜、遅くなってごめんね。




もっとはやく来るべきだったね。




でも、ここまで来るのに、今までかかった。






写真の由亜はずっと笑ってる。




私も、笑っていくね。




私は、由亜の写真に笑顔を見せる。






お線香のにおいが私を包み込む。